背景
元々、不動産業界は、文書のデジタル化が遅れており、紙文書やFAXがまだまだ飛び交っていてM社も例外ではなかった。しかし合併による事業拡張に伴い、取り扱う紙文書の大幅増加が予測されたため、業務文書をデジタル化する方法を検討し始めていた。さらにデジタル化した後の文書管理についても、いかに必要な書類に早くたどり着けるかが課題となっていた。
課題
複数の部署から集まる多くの要望は「デジタル化」にまとめられていった…
営業本部長から呼ばれたTさんは、突然「DX推進担当」に指名された。
「最初は『DX?デジタル?それ何?』という状態でした、本当に。」
どうやらいくつかの現場から上がってきている要望が、デジタル関連に集約されたため、窓口に任命されたということらしかった。
「最初の相談は、営業サポートからでした。不動産情報の載っているPDFの内容を、コピーしてメールをつくっているが、編集しにくいので、何かツールを導入してもらえないか、というものでした。」
既存のPDF編集ツールも検討していたが、単独購入して、業務が属人的になってしまうことは避けたいと考えた。
同時に上がってきたのは、営業の最前線からのリクエストだった。
『「さすがに紙を持って歩く時代ではないし、動画を用意している物件なども多いので、持ち歩いているタブレットで必要な資料をお客様にご覧いただける環境を整備してほしい」と言われました。これはすぐに納得できましたが、この業界はまだまだファクスが飛び交っています。元がデジタルでない資料をいかに取り込むかという課題が残りました。』
そして総務経理部門からも要望があった。
「PDFなどで集まる請求書を一括管理するにあたって、Excel化して編集可能な状態で保存したい。承認などのワークフローを反映させたい。」
さらに予定される合併に伴う文書管理のルール作りも課題に加えられた。Tさんも各部署からの課題の共通点は理解しつつ、まさに最終的には文書のやりとりがすべてデジタル化され、変換なども自在になるのが理想形であろう、とゴールもイメージできてきた。
「とはいえ、いきなりシステムを導入して、現場が大混乱、というわけにもいきません。将来を見据えて、まず足元から、という基本方針が決まりました。」
課題のポイント
複数の部署から文書管理に伴う要望が同時多発的にあがっていた。
将来的にデジタル化したワークフローを実現するため、段階的なSTEPが必要だった。